プラトン

善のイデアこそ、
学び知るべき最大のものである。

Plato[前427-前347]
ギリシアの哲学者。ソクラテスの弟子。大学(高等教育機関)の原型となる学園(アカデメイア)を創設し、イデア論を説いた。『国家』、『饗宴』など約25編の対話編がある。

 プラトンはイデア論を展開した。イデアこそが真の実在であり、この世界に存在するものはすべて仮象である。それらは不完全なものであり、移ろいゆくものだからである。プラトンはこの世界の背後に永遠不変の世界(=イデア界)を想定した。哲学者が相手にするのは、このイデア界である。
 例えば、哲学者は個別的な美について考察するのではなく、「美そのもの(美のイデア)」について考察する。あるものが美しいのは美のイデアが分有されているからである。

たとえ、だれかがぼくに、あるものが美しいことの原因として、あざやかな色とか形とか、その他、何かそのようなものをあげたとしても、ぼくはほかのものは無視して…、ただつぎのことだけを、純粋に、率直に、そしておそらく愚かしく固執する。……ぼくの断言するのは、すべての美しいものは美によって美しいということだ。(「パイドン」)

 有名な「洞窟の比喩」(『国家』)によれば、私たちは洞窟に囚われた囚人であり、灯火によって目の前の壁に映しだされた物の影を唯一の実在として受け取っている。哲学者の使命はこの感覚によってとらえられる世界がたんなる仮象(見かけ)にすぎないことを人々に知らしめ、洞窟の外にある真の世界(イデア界)について探ることである。
 したがって、この世界に存在する個物(イデアの影)をまねて描いた絵画(や詩歌・演劇)は、真実(イデア)から遠ざかること第3番目のもの(影の影)としてプラトンの考える理想国から追放されることになる。芸術的な著作を遺したにもかかわらず、プラトン自身は芸術否定論者だった。

饗宴
プラトン/久保勉訳(岩波文庫)
「饗宴(シンポジオン)」とは「一緒に飲む」という意味。ソクラテスを始め7人の男たちが酒を飲みながら語るのはエロス(愛)について。きわどい話満載。